東京高等裁判所 昭和31年(う)538号 判決
被告人 林仲英
〔抄 録〕
弁護人の控訴趣意について。
たばこ専売法第二条はたばこ種子の輸入、葉たばこの一手買取、輸入及び売渡、製造たばこの製造、輸入及び販売等の権能はすべて国に専属する旨を規定し同法第三条は右専売権の実施は日本専売公社をして行わしめることを定めておるのであるが、特にその販売については同法第五章において販売機関としては公社又は公社指定の小売人でなければ製造たばこを販売してはならないことを規定するとともに小売人の指定についても各種の制限を設け、また小売定価を定め、小売人に対しては定価表の掲示義務を課し、あるいは品質の悪変したとき、包装が破損し又は汚染したときは公社に引換義務を認めているのであつて、これらの規定を通覧すればたばこ専売法は単に企業独占を確保するための方策のみならず、たばこ専売事業の健全な運営とその信用の保持向上のため右公社に対しては固より小売人に対しても各種の監督を実施していること明らかであるから、仮令一旦たばこ指定小売人が消費者に販売した製造たばこであつても、更にこれを原判示の如く多量に反覆して販売し、又はこれらの販売の準備をなすが如きはたばこ専売法がたばこ専売事業の独占を確保し且つ右事業の健全な運営及びその信用の保持向上等を期しその販売段階において励行しようとしている各種の監督統制をみだすものというべく、原審が被告人の原判示各所為に対したばこ専売法第二十九条第二項、第七十一条第五号をもつて問擬したことは相当である。それゆえ論旨は理由がない。
(中村光 脇田 鈴木)